
Googleの最新画像生成AIであるナノバナナ(Nano Banana)を使い始めようとしても、どのような指示を出せば思い通りのイラストが生成できるのか悩んでしまうことはありませんか。「頭の中には明確なイメージがあるのに、AIになかなか伝わらない」「何度生成しても、どこかコレジャナイ感が拭えない」……そんなもどかしさを感じている方は少なくないはずです。
特に私たちイラストレーターにとって、筆のタッチや光のニュアンス、キャラクターの表情といった細部は作品の命とも言える部分ですよね。自分のタッチに近いアニメスタイルを再現するためのプロンプト例や、クオリティを一段階上げるための英語プロンプトの書き方を知りたいと感じる場面も多いでしょう。
実は、ナノバナナのような最新のAIモデルは、単なるキーワードの羅列よりも「対話」や「情景描写」を重視する傾向があります。この特性を理解し、適切な言葉選び(プロンプトエンジニアリング)を行うことで、AIは単なる自動生成ツールから、あなたの創造性を拡張する最強のパートナーへと進化します。
この記事では、今日からすぐに使える実践的なテンプレートや、失敗を防ぐためのネガティブプロンプトの活用法、さらにはコード生成や文章作成への応用まで、イラストレーターの視点で詳しく解説していきます。一緒に、ナノバナナという新しい画材を使いこなす旅に出かけましょう。
- ナノバナナで狙った通りの絵を出すための基本構成と5W1H思考
- アニメ調や絵本風などスタイル別の具体的な指示方法とキーワード
- キャラクターの顔や雰囲気を統一して描くための固定化テクニック
- イラスト以外のサイト制作や文章作成への応用術による業務効率化
イラストレーター向けナノバナナプロンプトの基礎

ナノバナナ(Nano Banana)は、Google DeepMindの技術を結集した最新モデルであり、私たちクリエイターにとって非常に強力なアシスタントになり得るツールです。しかし、その高機能さゆえに、適当な指示では平凡な結果しか返ってこないこともあります。その能力を最大限に引き出すためには、AIにこちらの意図を正確かつ解像度高く伝える「プロンプトエンジニアリング」の基礎を押さえておく必要があります。まずは、すべての土台となる基本的な構成要素からじっくりと見ていきましょう。
ナノバナナプロンプトの基本構成
ナノバナナで魅力的な画像を生成するためには、従来の画像生成AIでよく見られた「呪文(キーワードをカンマで区切って大量に並べる手法)」から脱却する必要があります。最新の言語モデルを搭載したナノバナナでは、情景を文章で語るように伝えることが公式にも推奨されており、実際にその方がニュアンスを汲み取ってくれやすいんですね。
私が実際に日々の制作で試行錯誤する中で「これは絶対に外せない」と感じたのは、以下の要素をバランスよく、かつ具体的に盛り込むことです。これはいわば、人間に絵を依頼するときの指示書(発注書)と同じようなものです。
| 要素 | 役割 | プロンプト内での具体的な記述例 |
|---|---|---|
| 被写体 (Subject) | メインで何を描くか | 風になびく長い青髪の少女、苔むして崩れかけた石造りの古城 |
| 構図 (Composition) | カメラ視点と切り取り方 | バストアップのポートレート、広角レンズで見上げるローアングル、上空からの俯瞰 |
| 画風 (Style) | タッチや芸術様式の指定 | 透明感のある水彩画風、輪郭線の太いアメコミ調、重厚な油絵スタイル |
| 照明 (Lighting) | 光の演出と影の落ち方 | 夕暮れのドラマチックな逆光、木漏れ日のような柔らかい自然光、サイバーパンクなネオン光 |
| 色彩 (Color) | 全体の色調やキーカラー | 全体的に彩度を抑えたセピア調、ビビッドでポップな配色、青とオレンジの補色対比 |
特に私たちイラストレーターがこだわりたいのは「画風・スタイル」の指定です。自分の出したいテイストを言語化するという作業は、普段感覚で行っていることを論理的に分解する必要があるため、自身のスタイルを見つめ直す良いきっかけにもなります。
例えば、単に「手書き風」とするのではなく、「水彩絵の具が画用紙に滲んでいくようなウェットな質感」や「鉛筆の粒子が残るザラザラしたラフなデッサン風」といった具合に、画材のマテリアル感まで想像して言葉にすることで、出力される絵の説得力が格段に上がります。
また、Googleの生成AIモデル(Geminiなど)は、自然言語処理能力が非常に高いため、プロンプト内で「形容詞」を効果的に使うことが重要です。「美しい」という抽象的な言葉よりも、「朝露に濡れて輝く」や「長い年月を経て風化した」といった具体的な状態描写を好みます。
なお、ナノバナナのベースとなっている技術については、開発元であるGoogle DeepMindの公式サイトなどで最新の研究成果を確認することができます。AIがどのように言葉を理解し画像に変換しているかを知ることは、より良いプロンプトを作るヒントになります。(出典:Google DeepMind『Gemini - Google DeepMind』)
ポイント: 要素を詰め込みすぎず、短くても構造の通った文章にすることを意識しましょう。AIは文脈を理解しようとするため、「〇〇が××している」というストーリー性のある描写の方が、静的なキーワードリストよりも結果が安定しやすくなります。
画風別のナノバナナプロンプト例
描きたい作品のコンセプトやターゲットによって、プロンプトの書き方は大きく変わります。ここでは、多くのイラストレーターが関心を持つであろう「絵本風」と「リアル系」という対照的な2つのスタイルについて、私が実際に使っている具体的なプロンプト構成を紹介します。
絵本風イラストの場合
子供向けの挿絵や、ほっこりとした優しい世界観を作りたい場合です。ここではデジタル特有の冷たさを消し、アナログ感や温もりを演出する言葉選びが鍵になります。「パステル調」「水彩タッチ」「色鉛筆」といった画材の名前を入れるのが効果的です。
絵本風プロンプトの例: 夜空の下、深い森の奥でクマの親子が寄り添って眠っている心温まるシーンを、絵本風のタッチで描いてください。 色彩は全体的に淡いパステル調で統一し、画用紙にたっぷり水を含ませたような、にじんだ水彩絵具の柔らかい表現を強調してください。輪郭線は鉛筆で優しく描いたようなタッチで。 全体に温かく優しい雰囲気を持たせ、星空の光をほんのり背景に散りばめて、夢の中にいるような幻想的な空気感を出してください。

このプロンプトでは、「にじんだ」「たっぷり水を含ませた」といった質感(テクスチャ)への言及がポイントです。これを入れることで、AIはベタ塗りのデジタル絵ではなく、アナログ画材のシミュレーションを行ってくれるようになります。
リアル系(写真風)の場合
逆に、コンセプトアートや背景資料としてフォトリアルな画像を求める場合は、思考を「画家」から「カメラマン」に切り替える必要があります。カメラの設定や光の物理的な挙動を伝えることで、AIは実写に近いレンダリングを行います。「被写界深度(Depth of field)」「ライティング(Lighting)」といった撮影用語を使うと、AIへの伝わり方が劇的に変わります。
リアル系プロンプトの例: 古びた図書館の薄暗い読書スペースで、若い女性が集中して本を読んでいる様子を、高解像度の写真のようにリアルな質感で描いてください。 照明は、窓から差し込む夕方の柔らかなオレンジ色の光(ゴールデンアワー)をメイン光源とし、空気中に舞い上がる微細な埃まで鮮明に写るように表現してください。 レンズは85mmの中望遠レンズを想定し、被写界深度は浅め(f/1.8)に設定して、人物の瞳にピントを合わせつつ、背景の本棚は美しくボケるようにしてください(Bokeh effect)。

このように「85mm」「f/1.8」といった具体的な数値を出すことで、AIは構図の圧縮効果やボケの量を正確に計算してくれます。イラストレーターとしての知識にカメラの知識をプラスすることで、表現の幅は無限に広がります。
ナノバナナのアニメスタイル活用術
日本のアニメスタイル(Anime Style)は世界的に見ても非常に人気があり、ナノバナナでも多くのユーザーが挑戦しているジャンルです。しかし、単に「アニメ風(Anime style)」とプロンプトに書くだけでは、海外アニメのようなバタ臭い絵になったり、少し古い時代の絵柄になったりと、私たちがイメージする「現代的な日本のアニメ絵」にはならないことが多々あります。
プロのイラストレーターとして納得できる、リッチなアニメ調イラストを生成するためには、以下のような具体的かつ技術的なキーワードを組み合わせるのがおすすめです。
1. 線のタッチを指定する
アニメ絵の命とも言える「線画」のニュアンスを指定します。 ・「セル画調のくっきりした線(Crisp cel-shaded lines)」:TVアニメのようなはっきりとした輪郭線を出すために有効です。 ・「繊細な線画(Delicate line art)」:少女漫画や最近の美麗系ゲームイラストのような、細く繊細なタッチを求める場合に。
2. 時代や作品の雰囲気を借りる
具体的な作品名は権利的なフィルターにかかる場合もありますが、一般的なスタイルとして表現するのは有効です。 ・「スタジオジブリ映画のような背景美術(Studio Ghibli style background art)」:描き込まれた自然や、温かみのある建造物のクオリティを高めたい場合に使えます。 ・「90年代のレトロアニメ調(90s retro anime style)」:セル画特有の粒子感や、少し彩度を落とした色使いを再現したい場合に便利です。 ・「現代的な日本の深夜アニメ風(Modern Japanese TV anime style)」:今のトレンドである、キラキラした瞳やシャープな顎のラインなどを出しやすくなります。
3. シチュエーションで「動き」を作る
具体的なシーン設定が鍵 アニメの魅力は「動き」や「ドラマ」にあります。「青空の下、笑顔の少女」といった静止画的な指示だけでなく、「春の日差しで鮮やかな色彩を強調し、桜の花びらが風に舞っている中で、少女が振り返って微笑んでいる瞬間」といった具合に修飾を加えることで、まるでアニメのオープニング映像のワンシーンのような、物語を感じさせるドラマチックな絵になります。
また、アニメ塗り(Cel shading)か厚塗り(Impasto / Thick painting)か、あるいはエフェクト盛り盛りのゲームスチル風(Game CG style)かなど、塗りの質感を指定することも忘れないでください。ここが曖昧だと、AIが勝手に解釈してちぐはぐな仕上がりになる原因になります。
ナノバナナ英語プロンプトの重要性
ナノバナナは優れた多言語対応モデルであり、日本語のプロンプトでも十分に高精度な画像を生成してくれます。私自身、普段のラフ出しでは日本語でサクサク指示出しをすることが多いですし、ニュアンスの細かい日本語(例えば「木漏れ日」「侘び寂び」など)はそのまま日本語で伝えたほうが良い結果になることもあります。
しかし、クオリティを極限まで高めたい場合、あえて英語プロンプトを使うメリットも確実に存在します。その理由は主に2つあります。
一つ目は、画像生成AIの学習データの多くが英語圏の画像とテキストのペアに基づいているためです。特に、専門的な技術用語や特定のアートスタイルに関しては、英語で指示したほうがAI内部での概念の結びつきが強く、意図が正確に伝わりやすい傾向があります。
二つ目は、英語の方が形容詞のバリエーションが豊富で、微妙なニュアンスを区別しやすい点です。
| 表現したい内容 | 日本語プロンプト | 英語プロンプト(推奨) | 効果の違い |
|---|---|---|---|
| ボケ味 | 背景をぼかす | Bokeh effect, Shallow depth of field | 英語の方が「玉ボケ」などの美しい光学的なボケを再現しやすい |
| 光の表現 | 劇的な光 | Cinematic lighting, Volumetric lighting | 空気中の光の筋や映画のような陰影が明確に出る |
| 視線 | カメラ目線 | Looking at viewer | AIプロンプトの定型句として非常に強力に作用する |
| 詳細度 | 高画質、詳細に | Masterpiece, Highly detailed, 8k resolution | 全体の書き込み量や解像感が一段階上がる魔法の言葉 |
使い分けのコツ: 日本の情緒的な風景や、日本独自の文化(着物の柄、畳の部屋など)を伝えたいときは日本語メインで。一方で、ライティング、カメラワーク、画質指定などのテクニカルな部分は英語の専門用語を混ぜてみる(チャンポンにする)。これが、現在のナノバナナにおける「いいとこ取り」の最適解だと私は考えています。
ナノバナナのテンプレート活用法
毎回ゼロからプロンプトを頭の中で組み立てるのは、クリエイティブな脳のリソースを浪費してしまい大変ですよね。効率よく高品質な画像を作り続けるために、自分なりの「型」、つまりプロンプトテンプレートを持っておくことを強くおすすめします。
私はよく、以下のような5段階構成のテンプレートをテキストエディタに保存しており、生成のたびにカッコの中身を書き換えて使っています。これを使うと、必須要素の抜け漏れがなくなり、安定して高得点の画像が出せるようになります。
プロンプト構成テンプレート例: 1. [目的・シーン (Concept & Scene)] 何のための画像で、どんな場面か (例:ウェブサイトのヘッダー用。カフェでリラックスしている休日) 2. [被写体・配置 (Subject & Composition)] メインの被写体とその配置、カメラアングル (例:中央にコーヒーカップを持つ女性。バストアップ。背景は窓際の席) 3. [スタイル・雰囲気 (Style & Mood)] 全体のアートスタイル、色使い、ムード (例:ミニマルで清潔感のあるフラットイラスト。淡いブルーと白を基調。静かで落ち着いた雰囲気) 4. [照明・詳細 (Lighting & Details)] 光の加減や描き込みの密度 (例:柔らかい自然光。髪の毛一本一本まで繊細に描写) 5. [出力指定 (Output Specs)] 画像サイズや形式、除外したい要素 (例:16:9の横長比率。4K解像度。テキストは入れないでください)
実際のナノバナナ(Gemini)のチャット欄に入力する際は、必ずしも改行する必要はありませんが、自分で考えるときにこのように要素を分解しておくと整理しやすくなります。また、お気に入りのプロンプトができたら、それを「Myプリセット」としてメモアプリなどに保存しておき、次回似たような絵が必要になったときに一部だけ改変して使うのが、プロの時短テクニックです。
ナノバナナプロンプトでイラストレーターの作業効率化

ここまでは画像の生成方法を中心に、いかに「良い絵」を作るかを見てきました。しかし、ナノバナナの真価は単発の画像生成だけではありません。生成した後の「修正」や、イラスト制作に付随する「周辺作業の効率化」にこそ、AIアシスタントとしての大きな可能性があります。ここからは、クリエイティブワーク全体を加速させるための応用テクニックを紹介します。
ナノバナナのネガティブプロンプト
思い通りの絵が出ないとき、私たちはつい「もっと〇〇を描いて!」と要素を足すことに集中しがちです。しかし、実は「何を描かないでほしいか」を明確に伝えることの方が、クオリティアップへの近道である場合が多いのです。これが「ネガティブプロンプト(除外指定)」の考え方です。
Stable Diffusionなどのツールでは専用の入力欄がありますが、ナノバナナ(Geminiインターフェース)では、通常のプロンプトテキストの中で自然言語として否定命令を組み込む形で指定します。
具体的には、「~は入れないでください(do not include...)」「~なしで(without...)」といった表現を使います。特にイラストレーターの視点で気をつけるべき「除外したい要素」には以下のようなものがあります。
除外すべき要素の記述例: ・テキストの混入を防ぐ 「画像内に文字、署名、ウォーターマーク、日付などは一切入れないでください」 (AIは看板やTシャツなどに勝手に謎の文字を描きがちです) ・画質の低下を防ぐ 「ぼやけた描写、低解像度、JPEGノイズ、歪みは排除し、鮮明に描いてください」 (これを指定するだけで、画像のシャープさが変わることがあります) ・人体の破綻を防ぐ 「奇妙な手、余計な指(extra fingers)、不自然な関節、崩れた顔は描かないように注意してください」 (特に手足の描写はAIの苦手分野なので、念押ししておくのが無難です)
プロンプトの最後に「【禁止事項】文字、低画質、指の欠損」のようにまとめて記述するのも効果的です。あらかじめネガティブな要素をプロンプトで否定しておくという「守りのプロンプト」を覚えることで、生成後の修正(レタッチ)にかかる手間を大幅に減らすことができます。
キャラの一貫性を保つプロンプト術
私たちイラストレーターにとって、AI生成における最大の悩みであり課題の一つが「キャラクターの一貫性(Consistency)」ではないでしょうか。「さっき生成したあの子がすごく可愛かったから、別のポーズも描きたい!」と思ってプロンプトを変えた瞬間、髪型も顔つきも微妙に違う「別人」が出てきてガッカリする……そんな経験、ありますよね。
完全な同一性を保つのは現在のAI技術でもまだ難しい部分がありますが、ナノバナナの特性を活かしてキャラクターを可能な限り固定するためのコツがいくつかあります。
1. キャラクターの特徴(タグ)を固定文にする
キャラクターの外見的特徴を定義するプロンプトのパーツをあらかじめ作成し、それを毎回一字一句変えずにコピペして使用します。
(例)「ショートカットの青い髪、猫のような大きな緑色の瞳、左頬に小さな泣きぼくろがある、白いパーカーを着た10代の少女」 この説明文を、ポーズや背景が変わっても常にプロンプトの冒頭に配置します。AIにとってはこの説明文こそが「そのキャラの定義」になります。
2. 固有名詞(名前)を定義して使う
「このキャラクターを『アイ(Ai)』と呼びます」と宣言し、プロンプト内でその名前を使い続けることで、同一人物として扱われる確率が高まります。セッション(会話)が続いている間は、AIが文脈として「アイ=あの青髪の少女」と記憶してくれるからです。
3. マルチターン会話での部分修正(In-painting的アプローチ)
これがナノバナナ(Gemini)の真骨頂です。一度生成した画像をベースに、チャット形式で指示を追加して微調整を行います。 例えば、気に入ったキャラの画像が出たら、新規生成するのではなく、「この画像の少女の雰囲気はそのままで、表情だけを『笑顔』に変えてください」や「背景だけを『教室』に変更して」と依頼します。
ポイント: 一度にすべての要素を変えようとすると、AIが混乱してキャラが崩壊します。「まずは背景を変える」→「次に服装を変える」→「最後に表情を調整する」というように、段階を踏んで少しずつ変化させていくのが、一貫性を保つ秘訣です。
サイト制作に役立つコード生成
イラストレーターとしての活動を広げるために、自分のポートフォリオサイトを持ちたいと考えたことはありませんか?しかし、「HTMLやCSSなんて分からないし、勉強する時間もない……」と諦めてしまうのは非常にもったいないことです。
ナノバナナ(Gemini)は画像生成だけでなく、プログラミングコードを書くことに関しても非常に優秀なエンジニアとしての顔を持っています。この機能を活用すれば、専門知識がなくても、自分だけのWebギャラリーを作成することが現実的になります。
例えば、以下のようなプロンプトを投げてみてください。
コード生成プロンプト例: 私のイラスト作品を展示するための、シンプルでおしゃれなポートフォリオサイトを作りたいです。 HTMLとCSSを使って、以下の要件を満たすコードを書いてください。 3列のグリッドレイアウトで画像を並べるギャラリー形式。 各画像の下にはタイトルと制作年を表示。 配色は私の作品が引き立つように、ダークグレーを基調としたミニマルなデザイン。 スマートフォンでも綺麗に見えるレスポンシブ対応。
この指示だけで、AIはコピー&ペーストすればすぐに動くレベルのWebサイトのコード一式を出力してくれます。あとは画像のファイル名を自分の作品のものに書き換えるだけで、プロ顔負けのサイトが完成します。
さらに、面倒な作業を自動化するスクリプト(小さなプログラム)の作成も依頼できます。 「フォルダ内の画像すべてに、右下に『(c)MyName』という透かし文字を一括で入れるPythonコードを書いて」と頼めば、数秒でコードを提示してくれます。クリエイティブな時間を確保するために、単純作業や技術的な課題はAIに丸投げしてしまうのが、賢い現代のイラストレーターの働き方です。
イラストレーターがナノバナナプロンプトを学ぶ価値
ここまで、ナノバナナを活用した画像生成、修正、そしてコーディングやライティングへの応用までを見てきました。中には「AIを使うなんて手抜きではないか」「自分の技術が錆びついてしまうのではないか」と不安に思う方もいるかもしれません。
しかし、私はこう考えます。ナノバナナのような生成AIは、私たちの仕事を奪う敵ではなく、クリエイティビティの限界を突破させてくれる強力なパートナーであると。
プロンプトという「言葉の絵筆」を使いこなせるようになれば、以下のようなメリットが手に入ります。
- アイデア出しの加速:頭の中のぼんやりしたイメージを数秒で可視化し、ラフの参考にできる。
- 表現の拡張:普段の自分なら描かないような構図や色使いをAIから学び、作風に取り入れられる。
- 業務の効率化:Web制作や文章作成などの周辺業務をAIに任せ、本業の「描くこと」に集中できる。
最初は思った通りの画像が出なくて戸惑うこともあるでしょう。しかし、今回紹介したテンプレートを活用したり、粘り強く対話しながら修正したりすることで、徐々にAIとの呼吸が合い、コツが掴めてくるはずです。
テクノロジーは常に進化していますが、「何を表現したいか」という核の部分を持っているのは、いつだって人間のクリエイターです。ぜひこの記事を参考に、ナノバナナという新しい画材を手に取り、あなたの創作活動を次のステージへと進めてみてください。
※ご注意: 本記事で紹介した情報は、執筆時点での一般的なAIモデルの挙動や使用例に基づいています。生成AIに関する法律(著作権法など)や各サービスの利用規約は頻繁に更新されるため、商用利用の際は必ずGoogleの最新の利用規約やガイドラインをご自身でご確認ください。また、法的な判断が必要な場合は弁護士などの専門家にご相談ください。 (参考:文化庁『AIと著作権に関する考え方について(素案)』)